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タイムの花はヘギイタダニ駆除に有効か

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「 カモミールの植栽 」の続きです。 ご存じないかも知れませんが、今日はタイムの日です。タイムは6月18日の誕生花です。しかし、そんな日は人間が商売するために勝手に決めた日ですのでまったく気にする必要はありません。 さて、日本の養蜂界でにわかにタイムに注目が集まっているのは昨年から販売が開始されたチモバールの主成分であるチモールを多く含有しているからです。 このタイムを養蜂箱にいれればチモバールの代わりになって薬代を節約できる、と考える人はいるでしょうが、少し摘んで入れただけでは話になりません。チモバール一回分のチモール相当量を含有するタイムの葉は2、3kgになりますから。 結論を先に書いてしまいましたが、皆さんが試すのは自由です。入れたら入れたで多少のダニは落ちるはずです。しかし持続性はないので、続々と巣房から出てくる新しいダニを駆除するには2週間切らさずに入れ続ける必要があります。 そんな大変なことはできないからこそ製剤化された薬品が市販されているのです。 「今年のヒマワリ」に続きます。

アリストテレスとミツバチ

「 聖書とハチミツ7―シリア・ミツバチに喩えられたアモリ人 」の続きです。 アリストテレスについては特に説明不要でしょう。 アリストテレスは『 動物誌 』の第5巻21章と22章の中でミツバチについて書いています。そこには現代の知見からは大いに間違った珍説が多数収められています。 雄蜂は別の種類の蜂 アリストテレスは、ミツバチには「リーダー」と「役に立つ蜂」がいると考えました。それらはつまり女王蜂と働き蜂のことです。しかし、アリストテレスは女王蜂は雄だと考えていたので「リーダー」としています。また、雄蜂の存在には気づいているようでしたが、それは別の種類の蜂だと考え、「ケーペーン」と呼んでいます。これについては、女王蜂と働き蜂は外観がほぼ同じであるのに対し、雄蜂は大分異なるので、そのように考えたとしても仕方ないところはあります。 当時のギリシア人は女王蜂を雄だと考えいたので、アリストテレスもそれに倣っていたわけですが、そうするとミツバチがどのように生じるのかという問題が生じます。そこで当時一般的だった、「花から生じそれを連れ帰って巣房に入れている」という通説を紹介しています。この説は現代から見るとおかしな説です。アリストテレスは、有力説として「ケーペーン」が雄蜂で、ミツバチ(働き蜂)は雌という説や、リーダー(女王蜂)がミツバチ(働き蜂)を産むという説も紹介しています。これらの「有力説」が正解であることは言うまでもありません。 針、複王制、花の蜜の正体、幼虫の生態 針については、雄蜂にはなく、働き蜂にはあり、女王蜂にもあるが刺さないことを記述しています。これも自説ではなく、他の人の説としての紹介に留めています。 リーダーつまり蜂王(女王蜂)は、コロニーに数匹いると言っています。これはリーダーには2種類あるという先入観に基づいて観察した結果、導き出されたのでしょう。「火のような色」の蜂は、たまたま明るい色で生まれた働き蜂と思われますが、それをアリストテレスはリーダーにカウントしてしまったわけです。 蜂が蜜を花から集めていることは正しく認識していました。しかし、花の蜜は、花の分泌物ではなく、空気中の霧が溜まったものだと考えていました。これは当時のギリシア人が一般的に信じていた考えです。 小蛆、つまり幼虫の時は糞をしないが、出房後に糞をする、と書いています。これも半分間違いで、

翻訳『野生ミツバチの知られざる生活』のレビュー

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アメリカ合衆国のミツバチ研究者トーマス・シーリーの近著 "The Lives of Bees"の翻訳 が今年の2月に刊行されました。原書は良いのですが、青土社から出た翻訳は、残念ながら非常に大きな問題を抱えています。 このブログの読者なら既にお気づきでしょうが、この訳書の表紙の蜂はミツバチではありません。 ミツバチの特徴は腰がくびれているところです。訳書の表紙の昆虫はどこをどう見ても腰はくびれていません。背中の盾板もミツバチのものではありません。翅脈もめちゃくちゃです。種類はよく分かりませんが、何らかのマルハナバチを描いているように見えます。ハナバチも蜜を集めるので広い意味ではミツバチですが、訳書の主役である Apis mellifera ではありません。 翻訳者や編集者、装丁デザイナーらは誰も気づかなかったのでしょうか。 こんな表紙では養蜂家が手にしないとしても仕方ありません。わたしが著者なら目眩がして寝込んでしまうでしょう。

カモミールの植栽

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「 早いニセアカシアの開花 」の続きです。 蜜源植物というよりは花粉源植物となろうかと思いますが、今年からカモミールを植えています。 カモミールは俗に「植えてはいけない植物」として知られており、一度植えると駆除が困難です。幸いなことに養蜂場では、植物にはなるべく手間を掛けたくないのでむしろ丈夫な植物は大歓迎です。 カモミールを植えたのには花粉源以外にも目的があります。ハーブティーにするためです。わたしは学生の頃さまざまなハーブティーを試していました。ハーブは薬草のようで、ティーにするのは煎じているかのようで体に良いというイメージがあったからです。実際はほとんど体に何の影響もなかったというのが現実でしたが。 その後は紅茶にシフトし、紅茶は紅茶で種類が豊富だったため長く色々試したものでした。しかしその分カネもかかるので、再度ハーブティーにチャレンジすることにしたのです。 考えようによっては、そこらへんの雑草を煎じているだけですが、「ハーブティー」というジャンルに括ることで何か特別なことのように思えるのは面白いことです。 「 タイムの花はヘギイタダニ駆除に有効か 」に続きます。

温度センサーDHT11やDHT22を使った冷却システムの構築について

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「 “Raspberry pi”を使った温熱治療の冷却システムの構築について 」の続きです。 DHT11やDHT22とは 読者の中には「 GPIOピンにセンサーを接続してこそ Raspberry pi」という先入観を持っている人もい るかも知れません。しかし Raspberry piは道具に過ぎませんから、そのような縛りは不要です。農業はリアルなものですのでプラグマティックでなければなりません。 その点、 Switchbotの温湿度計 は広く出回っておりそれほど高価でもなく、温熱治療以外にも巣箱内や養蜂場の温度推移をロギングするのにも使えますし、もちろん普通に温湿度計としても使えるので、前の記事の構成で運用しても何の問題もありません。 それでも、既に Raspberry piで使える温度センサーを持っているなら、それを使わない手はありません。そこで、温湿度センサーとして DHT11 や DHT22 の使用を検討することにします。 DHT11は温湿度センサーとしては非常に廉価で、 Raspberry piの学習キットに入っていることもあります。そのため、既にお持ちの方もおられるでしょう。しかし、温度測定範囲:0℃ から 50℃、温度測定誤差:±2℃と、厳密な温度管理が求められる温熱治療では、不安が残ります。 DHT22は、DHT11よりも高価ですが、温度測定範囲:-40 ℃ から 80 ℃、温度測定誤差:±0.5℃と、信頼性は非常に高いです。下の写真のセンサーがDHT22です。 本記事ではそれら両方の使用方法について検討します。 DHT11やDHT22 の接続 DHTには、 ・電気供給の端子(+、プラス、VCC) ・電気を逃す端子(−、マイナス、GND、グランド) ・データを送信する端子(DATA、OUT) の3つの端子があります。 わたしの手元にあるDHT22では、左から「+、OUT、−」となっています。 これらの端子をRaspberry piの対応するGPIOピンとケーブルでつなぎます。 たとえば、 「+、プラス、VCC」は、ピン番号1番の3.3Vに、 「−、マイナス、GND、グランド」は、ピン番号9番のGNDに、 「DATA、OUT」はピン番号7番のGPIO4に、 つなぎます。 次の図で示すと、一番左上の3.3Vと書かれた1番ピンにプラス(+)を、2つあけて4つ

“Raspberry pi”を使った温熱治療の冷却システムの構築について

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「 現代農業6月号への寄稿について 」の続きです。 現代農業6月号への寄稿について問い合わせを頂いていますので、Raspberry pi を使った冷却システムの構築方法について公開することにいたしました。 寄稿記事の要点 詳しくは「 現代農業 」6月号の該当記事を読んでいただきたいのですが、ポイントは「ヘギイタダニは41、42℃を2、3時間保つことで殺すことができる」というものです。しかしミツバチも高温で死ぬため、「ダニは死ぬがミツバチは死なない」絶妙な温度を保つ必要があります。 この温度制御が難しいため、温熱治療は、基礎研究はあるものの、技術的に困難でした。もちろん金に糸目を付けなければできますが、それならわざわざ温熱治療を行う必要もないわけなので、安価で、電気系統のない養蜂場で、誰もができるシステムの確立が課題だったわけです。 幸い、シングルボードコンピュータ“Raspberry pi”は、養蜂箱に入るほど小さく、比較的安価で、柔軟性も高く、モバイルバッテリーで動作することから実現できた次第です。 機材の調達 必ずしもRaspberry Pi でなければならないわけではありませんが、最も多くの人に使われ、情報も多く、今後も生き残ると思われるRaspberry Pi が望ましいです。 Raspberry Pi は、「シングルボードコンピュータ」ですが、家電量販店では取り扱われていません。 Amazon や 楽天 などの通信販売で入手するのが一般的です。 「Raspberry Pi 4 Model B / 4GB」が必要ですが、それ以外にも、「micro sdカード8GB以上のもの」、「マイクロUSB TYPE C のACアダプタ 5V3Aのもの」、「micro HDMIケーブル」などが必要です。よく分からない人はセットのものを入手して下さい。 温度センサーとして、 SwitchBot社の温湿度計 を使います。これはBluetoothでスマホと通信できる温湿度計です。 このブログでも度々登場しています 。温度や湿度のログをグラフ表示することもできます。温熱治療中の温度検知とモニタリングはこれにかかっています。 他にも、「 USBで駆動する冷却ファン 」、「 モバイルバッテリー 」、「 ガーデニング用のビニール温室 」、「ポリエチレンやポリプロピレンの黒いシート」が必