2025-04-25

「和蜂」なぞ存在しない

しばしば「在来種のニホンミツバチは古来より『和蜂』と呼ばれてきました」と書いている人が見られますが、「和蜂」なんて存在しません。「『ニホンミツバチ』と呼ばれているトウヨウミツバチの正体が実のところ『チョウセンミツバチ』だからだ」という意地悪を言いたいのではありません。ニホンミツバチは、江戸時代はもちろんのこと、明治大正昭和の時代においてもそんな呼び方はされていなかったのです。

明治から昭和にかけて書かれた養蜂書や養蜂雑誌においてニホンミツバチには、「日本種」とか「日本蜂」という表現が用いられてきました。『全訳家蜂蓄養記』に記した通りです。

そのようなわけで、「ニホンミツバチは『和蜂』と呼ばれてきました」とか、「古来より『和蜂』と呼ばれてきました」というのは明確な嘘偽りです。もしそう言い続けたいのなら、そう呼ばれていた証拠を挙げなければなりません。そうせずに、言いたいことだけ言い続けるのなら、それは歴史修正を通り越して歴史捏造だというよりほかありません。

現代の人が、セイヨウミツバチと区別してニホンミツバチを「和蜂」と呼ぶのは自由です。しかし、「在来種のニホンミツバチは古来より『和蜂』と呼ばれてきました」というのは、二重の意味でデタラメです。