2022-02-25

獣医師はミツバチの医者ではない

獣医師は、その名のとおり、ウシやブタ、イヌやネコ(その他一部の鳥類など)といった獣の医者です。その診療業務の独占はそれら獣や鳥に限られており、決してミツバチやカイコなど昆虫の医者ではありません。日本には、昆虫の医者もミツバチの医者もいないのです。

もし、「ミツバチの医者」を名乗る獣医師がいるのなら、獣医師法を知らないか、あるいは知っていながら何か別のことを企んでいるのでしょう。

これは、裏を返すと、誰でもミツバチの診療を行い報酬をとっても良いということです。たとえば、読者がアピスタンやアピバール、その他温熱療法など合法的な方法で誰かのミツバチを治療してカネを受け取ることができる、ということです。

もちろん、ギ酸やシュウ酸や違法に輸入した薬など農水省が承認していない認可外薬を治療に使うことはできません。この点につき獣医師にはそれらの使用が許されていますが、それは特別な例外です。もちろんそのことで、獣医師がミツバチの医者になるという訳ではありません。

2022-02-18

養蜂家になるとはどういうことか3

養蜂家になるとはどういうことか2」の続きです。

「養蜂家になるとはどういうことか」では厳し目なことを書いていますが、今回は論調を変えて、「ミツバチを飼っていて良かった」と感じる時について書こうと思います。

「ミツバチを飼っていて良かった」と思うのは一体どのような時でしょうか。蜂蜜を絞った時でしょうか。その蜂蜜が売れた時でしょうか。あるいは、ミツバチが売れた時でしょうか。わたしが 「ミツバチを飼っていて良かった」と思うのは、ミツバチが近隣の植物の受粉を手伝い、地域の実りを増やしていることを想像する時です。養蜂場を中心にミツバチの行動半径にある、皆さんが農地や家庭菜園などで植えられた植物が、人知れずに普段よりも多くの実りをつけていると考えるのは楽しいものです。養蜂場があるのとないのとでは、大きな違いが生じます。

それだけではありません。自然に生えている、人が採らないような、しかし昆虫や動物、鳥が餌とするような実が多く実っていることを考えるのも楽しいものです。ミツバチは人間の生活に役立っているだけではなく、他のさまざまな生き物の生活にも貢献しているのです。

地域を豊かにしているのは、ミツバチだけではありませんが、ミツバチが一役買っているのは間違いありません。わたしはその自然の大きな流れに一枚噛んでいることに、しかしそれに気がついている人も知っている人もほとんどいないことに喜びを感じています。

皆さんもミツバチを飼うならこのような喜びを噛みしめることができます。

2022-02-11

『ミツバチのダニ防除 − 雄バチ巣房トラップ法・温熱療法・サバイバルテスト』の上梓について

この度、農文協さんから『ミツバチのダニ防除 − 雄バチ巣房トラップ法・温熱療法・サバイバルテスト』を上梓することができました。

これは、現代の養蜂を困難なものにしているヘギイタダニやアカリンダニの防除について実際的かつ具体的に論じたものです。各防除の方法、そのメカニズム、効果の程度、法令による規制など、かゆいところにまで手が届くよう、お茶を濁すことなく書きました。

サブタイトルにもあるように、温熱療法についても克明に書いていますので、ダニ問題の克服の一助になることでしょう。その他にも、薬のなかった時代はどうだったのかとか、無治療のまま放って置くとどうなるのかといったサバイバルテストについても書いていますので、きっと最後まで楽しんで読んでいただけると思います。

本書は読者のレベルによってさまざまな読み方ができます。ダニ防除について右も左も分からない初心者にとっては基準となるでしょうし、標準的なダニ防除方法に満足できない人には「ケミカルフリー養蜂」へステップアップする手引きともなります。さらには、究極的に目指すべき方向も示していますので、養蜂を生涯のテーマにすると決めた人にも応えるものとなっています。

価格は税込みで2,970円です。薬代を2,970円以上節約できるのは確実なので、是非お買い求めください。

2022-02-04

寄生虫――ゴマフウンカ

最近気づいた共生者にゴマフウンカCemus nigroclyeatusがいます。短翅型のようで、体長は2mm強と非常に小さいです。そのためこれまで見過ごして来ました。

ゴマフウンカがミツバチの共生者であると報告している例は、論文にもどこにもありません。特に害になっているわけでもないようなので、誰も気にも留めていないのでしょう。

わざわざ入り口から入って来たとは思えないので、想像するに採餌先の植物にいたものが便乗して巣箱に連れて行かれてしまったのでしょう。

とすると、ゴマフウンカは、寄生したくてやってきたのではなく、ミツバチに偶然連れて来られただけなのかもしれません。