2024-03-29

アジアの養蜂観を形作った『小畜集』

ニホンミツバチ(トウヨウミツバチ)について漠然と知っていることは多々ありますが、それらは一体だれが言い始めたことなのでしょうか?各時代に生きた名もなき養蜂家の発見が蓄積された結果なのでしょうか?

そうではありません。それらトウヨウミツバチについての典型的な情報は、専ら李時珍の『本草綱目』に負っています。

もっとも、李時珍はミツバチに詳しかったわけではなく、専ら王禹偁の『小畜集』に依拠していました。王禹偁は、ミツバチを飼っている寺の僧に教えてもらいました。

以下のとおりです。

https://zh.m.wikisource.org/wiki/%E5%B0%8F%E7%95%9C%E9%9B%86_(%E5%9B%9B%E5%BA%AB%E5%85%A8%E6%9B%B8%E6%9C%AC)/%E5%85%A8%E8%A6%BD#%E7%B4%80%E8%9C%82

『全訳 家蜂蓄養記』には抄訳を載せていますのでそちらもご覧ください。

2024-03-15

国会図書館所蔵『家蜂蓄養記』の写本のネガを寄贈いたしました

このたび(といっても昨年の『完訳 家蜂蓄養記』執筆のことですが)、研究目的の特別複写申請を行いました。複写は、マイクロフィルム化費用を負担し、そのネガフィルムを国会図書館に寄贈することを条件に、許可されました。

国会図書館は、蜂須賀家の「阿波国文庫」に所蔵されていた『家蜂蓄養記』の写本を持っています。それは、これまでずっとマイクロフィルム化されていなかったため、通常の手続きでは複写できず、一旦マイクロフィルム化してから紙焼きする必要がありました。

マイクロフィルム化されていない古文献の場合、「撮影」自体に130円、裏写りを防ぐための「入紙」にさらに13円かかります。これらは1枚あたりの費用なので、通常の複写の場合よりも2,392円余計にかかりました。

この最初のマイクロフィルム化費用を私が負担したので、皆さんは、1枚あたり70円で複写できます(別途、発送事務手数料に250円、送料に510円、さらに消費税かかりますが)。

国会図書館の『家蜂蓄養記』は、「阿波国文庫」から「特許局図書館」を経由して国会図書館に至っています。今回私が、マイクロフィルム化の特別複写申請を行ったということは、これまで誰も複写申請をしていなかったことになります。つまり、国会図書館の『家蜂蓄養記』は、誰も読むことなく、一世紀にわたって図書館に眠っていたということです。

『家蜂蓄養記』の写本は、いずれ国会図書館デジタルコレクションでも読めるようになるはずですが、それまでの間は、国立公文書館の方をご利用ください。

2024-03-01

現代農業4月号の内検の記事について

3回の連載記事もここで一旦終了です。内検を語り尽くした訳ではありませんが、私の内検ノウハウ・取り組みをざっくりお伝えすることができました。

今の時代、ダニ問題のため蜂群の維持・継続飼育を行うだけでも立派なものです。ひと時代前は、如何に多く蜜を採取し効率性を最大化するかが競われていたものですが、隔世の感があります。

私個人もダニ問題に苦しめられましたが、雄蜂巣房トラップ法と温熱療法によって克服し、今では薬や化学物質を一切使わなくても安定的に蜂群の維持・継続飼育が可能になりました。今では育種に取り組むことができるまでになっています。つまりは、系統による差異を評価できるほどになっています。

ミツバチはどれも同じに見えますが、やはり系統ごとに違いがあります。人間だってそうです。人によって、能力には雲泥の差があります。ミツバチもそれは同じです。同じ管理をしているのに、ダニを抑え込めない系統(親子)もありますし、蜜の貯まりの悪い系統もあります。それらは遺伝の差です。そのような系統を残していては未来はありません。優秀なものだけを残す必要があります。「瓜の蔓に茄子はならぬ」のです。

と、前置きが長かったですが、今度の記事は、そのような選抜育種に必要な視点を書いていますので、是非ご覧になっていただきたいと思います。