2020-05-29

流行りの蜜源植物ヘアリーベッチ


養蜂の世界にも流行り廃りがあります。蜜源植物にも「ブーム」があり、ある時は大いなる誤解に基づいて「エキウム」がもてはやされた時期もありました。しかしそれは今は下火になっています。

同じ頃流行った蜜源植物に「ヘアリーベッチ」があります。なお、「ヘアリーベッチ」は「フェアリーベッチ」ではありません。ヘアリーベッチは”Hairy vetch”でHから始まります。Fではありません。

外観は一見、カラスノエンドウに似ていますが、花の数はヘアリーベッチの方が多く、その分蜜の量も多くなっています。

蜜源植物としてもてはやされているのは、主にその繁殖力です。下の画像は、加古川の河川敷(池尻橋よりも下流)で繁茂しているヘアリーベッチです。
10年ほど前から5月中旬になると加古川河川敷が赤紫色に染まるようになりました。

もっとも河川敷の群生地は上荘からは距離があるため、当養蜂場のミツバチが往復するには荷が重すぎます。そこで、養蜂場に蒔くことにしました。
3月中旬に撒きましたが、開花までに2か月しか時間が残されておらず、時期的にはギリギリでした。

なお、一般的にヘアリーベッチは、蜜源植物としてよりもむしろ雑草抑えや緑肥として用いられており、開花予定の前年の秋頃に撒くのが普通のようです。
種子です。仁丹よりは大きく、正露丸よりは少し小さいくらいでした。
殻は硬めなので、土に埋め込む必要があります。
播種からずっと観察していましたが、発芽しているようには思われず、播種時期を逸したと思い諦めていましたが、5月中旬になって突如開花しているのを発見しました。播種からちょうど2か月経過していました。

来年にはこぼれ種から多くの花が咲くことを期待しています。

ヘアリーベッチの種取り」に続きます。

2020-05-15

ニセアカシアの開花と養蜂場の花々

春の到来」の続きです。

5月4日に上荘のあちこちでニセアカシアの開花が始まりました。
ニセアカシアは例年5月中旬に咲くことが多いのですが、今年は例外的な早さでした。
このような一足早い開花は今年の異常な暖冬の影響ゆえです。

一方でこちらは夏蕎麦の花です。5月8日に開花しました。昨年も7日開花でしたのでほぼ同時期に開花したと言えます。
冬の間から既に存在していた植物と、種の状態で冬を越した植物とでは暖冬の影響の受け方が異なるというわけです。
(ところで、2月16日に発芽した夏蕎麦はその後枯れてしまいました。)

暖冬は必ずしも蜂群にとって良いわけではありません。蜂群の成長と流蜜のタイミングがずれるからです。

さて、上の夏蕎麦は昨年開花したもののこぼれ種が発芽したものです。
しかし養蜂場には、蒔いていない花も顔をのぞかせています。
一昨年までは笹しか生えていなかったところに、蒔いたわけではないレンゲが咲きました。
スミレも同様です。
一体どこからやってきたのでしょうか。
ヘビイチゴです。イチゴのような白い小花を咲かせていました。
その他にも、ホトケノザやカラスノエンドウも咲いていました。

おそらくは昔に蒔かれていたものが笹の妨害を受けなくなり咲くことができるようになったのだと考えますが、生命力の高さには驚かされます。

2020-05-01

ハチはなぜ大量死したのか--農薬による蜂群崩壊

ハチはなぜ大量死したのか--オオスズメバチ被害」の続きです。


蜂群崩壊


4月上旬にある強群が蜂群崩壊を起こしました。その群れは昨年から常に強勢を保ち続けた期待の星でした。

ひっきりなしに行われていた外勤が控え目になったように思われ、蓋を開けてみたところごっそり減っていました。内勤蜂の数も減っており、すべての蛹を温めることすらできていません。
死骸も床に転がったままです。


メカニズム


蜂児の世話がままならないということは、外勤蜂が外で死んだだけではなく、内勤蜂が巣箱内で寿命よりも早く死んでいったことを意味します。つまり、内勤蜂は外勤蜂が持ち帰った毒、すなわち農薬を食べたということです。

毒ならば外勤蜂が口にした時点で外勤蜂が死に、それを巣に持ち帰ることはなさそうに思われますが、その毒の濃度が直ちに死ぬほど濃くなかったため巣に持ち込まれました。その「薄い毒」は巣内で濃縮され、致死レベルに達しそれを食べた蜂が死んだわけです。


昨年の大量死


同じことは昨年の4月にも起きました。

ハチはなぜ大量死したのか--農薬

近所のどこかで花に農薬が撒かれたのでしょう。