2021-04-30

早いニセアカシアの開花

養蜂場のヘアリーベッチの開花」の続きです。

最近ミツバチは、ずっとオレンジ色の花粉ばかり集めていたのですが、今週からは白色/薄黄色の花粉も集め始めました。ニセアカシアが開花したようです。

上荘でもところによって開花の順序が違います。日当たりがよく、少しくぼんで風があまり当たらないところは開花が早いです。ニセアカシアの花を見たい人は多くはないでしょうが、今なら都台の北公園に行けば見ることができます。

5月になる前に開花が始まったのは、今年の冬が非常に寒く春化が確実に行われ、さらには2月に暖かい日が続いたからでしょう。

さて、この最重要蜜源植物は国家から弾圧・迫害を受けています。というのも、環境省によって「生態系被害防止外来種(かつての要注意外来生物)」に指定されているからです。

このような指定は、ニセアカシアの繁殖力の高さを警戒し在来植物を駆逐するのではないかという感情的な懸念によるものです。しかし、そのような指定は科学的根拠を欠いています。


このような濡れ衣は、同じく生態系被害防止外来種に指定されているセイタカアワダチソウと同じです。


現代の日本の官僚は間違いを認め事を正す姿勢に欠けています。わたしたちから巻き上げた税金が有害無意味なことに費やされるのはまったく許されないことです。

「カモミールの植栽」に続きます。

2021-04-23

聖書とハチミツ7―シリア・ミツバチに喩えられたアモリ人

聖書とハチミツ6--バプテスト・ヨハネの野蜜」の続きです。

これまで、「聖書と蜂蜜」についてシリーズで書いてきました。聖書の中にはまだもう少し蜂蜜が出てくるのですが、詩篇やエゼキエル書の中で「神の言葉は蜂蜜よりも甘い」などと書かれたりしていて、「そりゃ信者にとってはそうでしょう」という程度のものでしかないので、これからは別の観点から書いていく予定です。

これから検討するのはミツバチについてです。と言っても、蜂についての記述もそれほど多いわけではありません。聖書は養蜂書ではありませんからね。


蜂が追うように追いかけるアモリ人


申命記は、預言者エレミヤやユダヤの王ヨシヤの時代に、祭司らが書いたものです。その体裁は、あたかもモーセが書いたかのように書いていて、モーセが出エジプトから入カナンへの道のりを総括し、イスラエル人に訓示を述べるというものです。その冒頭で、カナンの地の先住民であるアモリ人は、新規入植を企むイスラエル人を追い返す存在として描かれています。

その山地に住んでいるアモリびとが、あなたがたに向かって出てきて、はちが追うように、あなたがたを追いかけ、セイルで撃ち敗って、ホルマにまで及んだ(申命記1:44)。(口語訳)

ここでアモリ人は「蜂が追うように追いかける」と喩えられています。この蜂とは一体何なのでしょうか。

一般的な人々の蜂に対するイメージは、敵を追いかけて刺す危険な存在ですが、養蜂家にとっては違います。蜂は意外に刺さないというのが、養蜂家のイメージです。もちろん蜜を取ろうとしたり、巣箱を叩いたりしたら出できて刺しますが、巣箱の前を歩いたくらいでは刺さない、というのが養蜂家にとっての共通認識です。仮に追いかけて来ることがあるとしても(これさえめったに起こりません)、数十メートルも逃げれば蜂は追ってきません。


攻撃的なシリアミツバチ


実は、ミツバチにもさまざまな種類があり、系統によって攻撃的だったりそうでなかったりします。たとえば今日ならアフリカナイズドミツバチが非常にアグレッシブで人が死ぬこともあることが知られています。養蜂家が蜂は刺さないと思いこんでいるのは、ほとんど攻撃的でないイタリア・ミツバチやカルニオラ・ミツバチを飼っているからです。しょっちゅう刺しに来るなら仕事にならないので、そういう蜂は自然に飼わなくなっただけのことです。

このアモリ人の喩えになった蜂とは、イスラエル土着の「シリア・ミツバチ」です。シリア・ミツバチを飼ったことのある日本の養蜂家はおそらく一人もいないでしょうが、非常に養蜂に向いていないミツバチです。

収蜜力は低く、寒さにも弱く、経済的価値は高くありません。それだけでなく、ミツバチの品種の中ではトップクラスの獰猛さです。もし巣箱にちょっかいを出すものなら、文字どおり数千匹もの働き蜂にどこまでも追いかけられることでしょう。とんでもないミツバチです。これでもセイヨウミツバチの亜種のひとつです。

以前の記事でソロモンの時代に飼育されたミツバチは、地元のシリア・ミツバチではなく、輸入されたアナトリア・ミツバチ(トルコ、アナトリア半島)だったと書きましたが、それはこのような理由によるものだったのです。

アリストテレスとミツバチ」に続きます。

2021-04-16

わたしの養蜂具――虫眼鏡

聴診器内検」の続きです。

新しいシリーズとして、わたしが使っている養蜂具を説明していきたいと思っています。

もしかすると皆さんは、「養蜂具は誰でも同じものを使っている」と思われるかもしれません。確かにわたしは皆さんが使っている養蜂具を使っていることもありますが、使っていないことの方が多いでしょう。同時に皆さんが使っていないものを使っていることもあります。

今回紹介するのは、皆さんが使っていないと思われる方の養蜂具です。それは虫眼鏡です。倍率5倍ほどのものです。いわゆる100円ショップで110円で売られています。

これを使うと普段見落としているものをつぶさに見つけることができます。まず、よく使うのは箱の底に落ちたゴミの確認です。ヘギイタダニの死骸が落ちていることがあります。次によく見るのはミツバチの死骸の腹側です。ヘギイタダニがついたまま死んでいる個体が見つかることもあります。

虫眼鏡は卵を確認するのにも使えます。卵は見なくても幼虫を見れば産卵状況は分かるわけですが、それでも卵があれば3日以内の産卵状況が分かります。卵の数を3で割ったのが1日の女王蜂の産卵ペースです。3週間後に日々追加される蜂の数でもあります。

もちろん蜂の観察にも使えます。養蜂家が蜂を見ずにどうするというのでしょうか。蜂は同じようで違いがあります。コロニーによって差がありますし、コロニーの中でも差があります。

スマホと連携可能な顕微鏡もあります。それは写真を撮るのには便利ですが、気軽に確認するのにはやや大げさです。起動するのに時間がかかりますし、倍率が高すぎて目標物がすぐには見つかりません。虫眼鏡ならそんな時間はかかりません。

虫眼鏡は、なくても養蜂は成り立ちますが、それでは多くのものを見落としているはずです。

皆さんも虫眼鏡を使うなら、気づかなかった多くのことに気づくようになるでしょう。

わたしの養蜂具――燻煙器」に続きます。

2021-04-09

養蜂場のヘアリーベッチの開花

冬の蜜源植物 ローズマリー」の続きです。


 わたしにとってのヘアリーベッチは、「晩春になると加古川河川敷を赤紫に染めるカラスノエンドウのような新手の蜜源植物」というものです。しかし、知っているのはそれくらいでした。

昨年蒔き開花した種は少しでしたが、次の世代が続々と芽を出し花を咲かせるようになりました。最初の開花を確認したのは3月30日です。この時期は雨が降るたびに植物が加速的に成長していきます。

カラスノエンドウの方が一足先に開花していましたが、そちらは花がひとつか一対であるのに対し、ヘアリーベッチは房状になるので容易に見分けが付きます。

これが今、養蜂場のあちこちで咲いています。加古川河川敷でも探せば見つけることができます。本格的な開花はもう少し後になってからです。

早いニセアカシアの開花」に続きます。

2021-04-02

今後のブログ運営について

この1年間、隔週の投稿を続けることができました。

今後もブログの更新を続ける予定でいますが、他の活動と併せて持続可能なものにするためにも、これからしばらくの間は再び2週間ごとに更新することにいたします。

また、扱う内容として各種質問に対する回答も加える予定でいます。

今後もご愛読いただければ幸いです。