戦国時代の著名なキリシタン・伊東マンショを知らない人はいないでしょう。学校で習いますからね。そのような誰もが聞き覚えのある人物が、日本におけるミツバチの秘密を解く鍵を握っているとしたら、それは面白過ぎる事ではないでしょうか?
ローマで彼らが、“Non hanno in quei paefi Api ne in confequenza il nobiliffimo frutto del mele & cera”、つまり「ミツバチがいないため、蜂蜜も蜜蝋もない」と言っていたことは、『日本列島の概要』(1585年)に記録されています。それは、以下のとおり、筑波大学デジタルコレクションの4コマ目の第3段落の冒頭に書かれています。
https://dc.tulips.tsukuba.ac.jp/s/pub_ja/document/rb_10079324022
この文献の発掘は、在野研究者の星・南方熊楠によるものです。彼が大英博物館で発見していなければ誰も気づかなかったことでしょう。私はこの文献を発掘することはできませんでしたが、熊楠が差し伸べたバトンを受け取ることができ、大変嬉しく思っています。
なお、Breve raggvaglio dell'Isola del Giaponeのvをuにしている文献もありますが、それは16世紀まで活字上でuにvを当てていたのを直したためです。私は直す必要を感じていないので、vのまま翻刻しています。熊楠も同様です。