2022-01-28

越冬のこと

まだ冬の最中なので、越冬率について語る時分ではないのですが、周囲では早々に蜂群死が起きているようなので、わたしのところの越冬率について書くことにします。

現時点で、わたしの蜂群で消滅したものはありません。なので、今のところは100%です。わたしは今の時点で越冬死が起きるとは思っていません。起きるとすれば3月の貯蜜切れの頃です。

蜂は蜂蜜さえあれば、小群でも越冬します。しかし蜂蜜が切れれば、11月でも凍死します。越冬に失敗するのは、主に秋に十分な蜜を貯めることができていなかったためです。なぜ十分な蜜を貯められなかったのかというと、気候や蜜源の状況もあろうかと思いますが、ヘギイタダニに殺られて、若い蜂が採餌を始める前に巣を離れてしまったためです。

せっかく育て上げた労働力が、稼ぎ始める前に離脱するのですから、コロニーとしては、無駄な投資をしていたことになります。まるで入社3年以内に辞める新卒従業員への社員教育のようです。投資が無駄になるのは、環境が酷いからです。この場合はブラック企業というよりは、ヘギイタダニだらけの巣箱ということです。このようなことが起こらないためには、冬蜂が生産される秋までに防除をしっかり行っていなければなりません。

凍死は、蜜が十分に貯まっていないだけでなく、冬の間に巣から離れる蜂が続出することによっても生じます。秋の頃には巣箱一杯いた蜂も、ヘギイタダニが多ければ次々と巣を離れ、一握りの極小群になります。そうなれば、いくら蜜があっても凍死は避けられません。

「秋に防除を行ったのに」と言うかも知れませんが、それでは遅すぎます。また、十分効果的に防除ができていなかった可能性があります。さらには、防除によって蜂群自体がダメージを受けていた可能性もあります。特に後者の問題は十分認識されていないようですが、よくよく考えるべきことです。

大量の化学物質を巣箱にぶちこみながら、蜂が健康でいられると考えるのはどうかしています。人間も含め、どのような生き物も、そんなことをされて無傷でいられるわけがありません。かと言って防除しないのもまた虐待に近い所業です。化学物質を用いない防除方法こそ、これから行うべき防除方法です。

2022-01-21

わたしの養蜂具――刈払い機

今回は、皆さんもわたしも使っている「養蜂具」です。

雑草などを刈る草刈り機、つまり刈払い機は「養蜂具」といえるのかどうかについては「養蜂具」の定義が問題になります。もし「養蜂具」を「養蜂に不可欠なもの」と定義すると、養蜂具といえるものはほとんどなくなります。巣枠はもちろんのこと、養蜂箱ですら養蜂具ではないことになります。

極端な言い方を避けて一般的な言い方をしても、面布や防護服、手袋を使わずに蜂を扱う人は珍しくありません。しかし、面布や防護服、手袋を養蜂具と言わない人はいないでしょう。「養蜂具」の定義を「養蜂を行う上で使う道具」と広く定義するなら、刈払い機も立派な養蜂具ということになります。

と、長々と理屈を垂れましたが、刈払い機は養蜂場を維持する上で不可欠です。野菜を作っているわけではないので草引きの頻度は普通の農家ほどではありませんが、草刈りは月に1度くらいのペースで行っています。雨が多かったりするとその期間は伸びてしまい、雑草は大いに成長します。

農地において草を伸び放題にすることはゴミを放置しているのと同義です。そういうことは許されませんから、刈払い機は養蜂を行う上で必要な道具です。

わたしの養蜂場では、木が何十本も生えていましたから、それらを切るのに刈払い機は大活躍しました。大木も刈払い機で切れるのです。チェーンソーは買わず仕舞いです。開墾が終われば使うことはないと思われたので買いませんでした。一方で刈払い機は、養蜂を行い続ける限り必要になるでしょう。

そんな刈払い機も2年半で壊れてしまいました。シャフト(柄)がポッキリ折れてしまったのです。前代未聞の壊れ方です。しかしそれを期に電動の刈払い機に移行しました。毎回ガソリンスタンドに混合油を買いに行くのは無駄に感じられたからです。今でも電気代はかかりますが、混合油と比べるならタダ同然です。良い時代になりました。しかもバッテリーパックは刈払い機以外の電動工具にも使えます。

しかしその電動刈払い機も、わずか半年で壊れてしまいました。速やかに全額返金してくれたのは良かったのですが、そんなペースで壊れられては資源の無駄遣いというものです。

2022-01-14

頼もしい蜜源植物 梅の開花

10日は小春日和で、蜂の活動も見られました。みとろフルーツパークへ行くと案の定、梅が開花していました。

と言っても気の早い蕾が咲いただけで、数えるほどではありませんでしたが。

それにしても、こんな寒さの中でもちゃんと咲いてくれる梅は、非常に頼もしい存在です。

2022-01-07

冬の蜜源植物 クリスマスローズ

冬の蜜源植物にクリスマスローズがあります。クリスマスの頃に咲くわけではありませんが、概ね冬の間に花を咲かせます。


クリスマスローズはキンポウゲ科の植物で有毒です。学名の「ヘレボルス」は「食べたら死ぬ」という意味です。同じキンポウゲ科の植物にトリカブトがあり、トリカブトの蜜が混ざった蜂蜜を食べると中毒を起こします。そのため、クリスマスローズの蜜が混ざり込んだ場合に同様の問題が起こる可能性が考えれれますが、国内においてもまた国外においてもそのような報告はありません。なので、心配は杞憂です。

なぜクリスマスローズの蜜で中毒事故が起きていないのかについては、さまざまな理由が考えられます。まず、クリスマスローズの蜜にトリカブトのような成分が含まれていないか極めて微量なのかもしれません。また、有毒だとしても、蜜が集まるのは冬季で、蜜絞りが行われる6月までには蜂が食べ尽くしているか、有毒な成分が分解しているからなのかもしれません。理屈は分かりませんが、とにかく今のところクリスマスローズの蜜による中毒事故はありません。

今日においてクリスマスローズは、観賞用植物として庭先に咲かせる人は少なくないので、花の少ない冬には大きな助けとなっています。