今日のオオスズメバチ対策は、ゴキブリホイホイと同様、粘着シートに仲間をつけておびき寄せる方法が主流です。私も採用しています。しかし、なぜ粘着シートトラップにかかったオオスズメバチは死ぬのでしょうか?
熱で死んでいないのは確実です。ミツバチに刺されて毒が回っていることもありません。気門が粘着剤で塞がれている訳でもありません。それなのに、粘着シートの上で、10ないし30分のたうち回った後に速やかに死にます。もちろん中には数時間生きているものもいますが瀕死の状態です。どうであれ、粘着シートにかかったオオスズメバチの死に至る時間は、オオスズメバチ捕獲器に迷い込んだものと比べるなら非常に短い時間だと言えます。
死因が熱でも毒でも窒息でもないとすれば、「粘着シートトラップにかかったこと」が死因だと言えます。粘着シートから逃れようともがくことで、エネルギー切れになっているのです。人間も極度に疲労すれば死にますが、それと同じことです。
もしかして、粘着シートから逃れようと努力してもどうにもならず、むしろ事態が悪化する一方であることに絶望して死ぬのでしょうか。オオスズメバチに絶望するほどの知能はないと思いますが、そういう説明も成り立ちます。人も希望を保ち続けることで、過酷な状況で生き延び、希望をなくした者から死んでいくとも言います。しかしこれは多分にフィクショナルで、オオスズメバチに死の概念や死への予感、絶望はないと言うべきでしょう。
実際のところ、オオスズメバチは熱っせられなくても、動きを封じられれば死ぬのです。「熱殺」蜂球なんていうバズワードは嘘っぱちです。少なくともミスリーディングな呼び方です。
「蜂球」は間違いではありませんが、読者はくれぐれも「熱殺」などと言わぬよう気をつけられますように。