2022-03-25

ヘギイタダニの「共生」について

「共生」という語は、「相利共生、片利共生、片害共生、寄生、競争、中立」を含む概念です。「相利共生」だけが「共生」ではありません。

https://ja.wikipedia.org/wiki/共生

https://staff.aist.go.jp/t-fukatsu/kyouseihonnsitu.html

だから、ミツバチとヘギイタダニの関係が寄生関係であるとしても、共生関係と言っても間違っていません。

また、ミツバチとヘギイタダニの関係が寄生関係と断言することはできません。生態系は、上の6パターンに分類できるほど単純ではなく、流動的かつ連続的で、ある時は寄生関係でも、ある時は相利共生関係になることもあります。

そのような人間の無知による断定を避けるために、一緒に生活しているようであれば、広く「共生関係」と言うようになっています。

一見寄生関係に見えるものも、何かの役に立っています。ヘギイタダニでさえ、レベルの低いミツバチの遺伝子を淘汰してくれることで、ミツバチの適応性や抵抗性を高めてくれています。

このように、何かを寄生と決めつけるのは一方的な、特に人間の視野の狭さによるものであることが多いため、価値判断を含まない「共生関係」という中立的な言い方をします。

2022-03-18

纏足の文化としての翅切り、顎切り

今回は、皆さんがやっているかもしれないが、わたしはやっていない養蜂技術です。それは、女王蜂の翅切りと、顎切りです。

女王蜂の翅切りは、分蜂や逃去防止のための技術です。翅の一部を切ることで、真っ直ぐ飛べなくしてしまう「養蜂技術」です。女王蜂が飛翔能力を失うことで、不意の分蜂や逃去を防ぐことができるというわけです。

飛翔能力を奪うこと自体問題ですが、その方法も問題です。女王蜂を不具にするのですから。一体どんな罪で、女王蜂はそんな仕打ちを受けなければならないのでしょうか?

顎切りとは、多王飼育する時に使う技術です。通常1群に女王蜂が2匹以上いることはありません。もし、女王蜂は他の女王蜂と遭遇すると、腹部を振り回し刺し殺そうとします。大人しいような女王蜂の凶暴さが垣間見られる瞬間です。

この時に女王蜂は大顎で相手を押さえ込みます。しかし、大顎の一部が欠けているとそれができず、相手を殺すことができず、結果として女王蜂は共存し、多王飼育が実現します。

女王蜂の仕事は産卵でそれに大顎を使うことはないので、実質的に大顎はなくても困ることはないのでしょうが、武器を失った女王蜂はさぞ不安なことでしょう。

ここで再度問いますが、女王蜂は一体どんな罪の故に大顎を失わなければならないのでしょうか?

翅切りも顎切りも、私にはまったく理解できません。

2022-03-11

今年の越冬率について

2月末から暖かくなったもののまだ完全に冬は去っておらず、凍死リスクはまだ残っていますが、貯蜜は十分残っているのでここで越冬成績を確定して良いように思います。

今年の越冬率は75%でした。良くも悪くもない平凡な結果です。

越冬できなかった群れの半分は、ヘギイタダニにやられて弱体化したためと判断しています。もう半分は、ダニの死骸は見当たらなかったので、純粋な貯蜜切れだと考えています。

ダニの影響なく越冬に失敗した群れのひとつは、昨年はギリギリ越冬し、他の群れから1枚分働き蜂を入れて復活させました。ということで、越冬能力の低い女王蜂だったのだろうと考えています。

越冬で死にすぎるのは問題ですが、下位を切っていくことにもなるので、ほどほどの越冬死は必要です。

2022-03-04

アメリカ合衆国のコロニー・ロス・マップ

https://research.beeinformed.org/loss-map/

これは、アメリカ合衆国のBee Informed Partnershipというサイトのコロニー・ロス・マップです。

アメリカでは、蜂群崩壊症候群以来、養蜂家の申告に基づき詳細な蜂群喪失の統計をとっています。その成果がこれです。

毎年多くの蜂群が当たり前のように失われている現実がわかります。ギ酸やシュウ酸が認可されていても、越冬(越夏)成績が良くなるわけでないことも伺えます。しかし、これが当たり前だとも思いません。一体何がミツバチを滅びに追いやっているのでしょうか。

日本ではどうなっているのかは分かりません。わたしは同じようなものだと思っています。