今回のお題は、松平定信の『雨窓閑話』です。
さて、貞市右衛門の顕彰本を書いた松本保千代はかなりデタラメな人で、その内容の誤りの多さには目を覆うものがあります。
松本はその著書の中で、書名も示さずに「松平定信が熊野での養蜂の実態を書いている」としていたので、私は山のような松平定信の著書からそれを探し出す羽目になりました。
しかし出てきたそれは、熊野の養蜂とはかけ離れたタダの狂言でした。それがこれです。
29コマ目からです。
熊野から蜂と蜂蜜を買って来ることしか書かれておらず、熊野での養蜂はまったく分かりません。
日本の養蜂史を歪めた松本や、それが祀り上げた貞市右衛門のことなど書きたくもないのですが、その点は指摘しておく必要があります。
対して、松平定信です。彼がミツバチに肩入れしていたのは間違いありません。おそらくは、ミツバチの有用さ、勤勉さ、明確な身分関係などが、理想的な生き物に思えたからだろうと思います。
松平定信といえば福島ですが、厳密には白河です。福島は他にも会津や磐城もあり、それらのミツバチにはまたそれぞれ曰くがあります。それらについてはいずれどこかで公表したいと思っています。