日本養蜂協会のHPに、中村純氏の
が、アップロードされています。
上の著作は、日本語文献が不足しているヘギイタダニの生態に焦点が当てられています。非常に詳しく、拙著『ミツバチのダニ防除』では触れていない知見や新知見など具体的に述べられています。
KタイプとJタイプについても詳しく書かれています。その議論を詳しく知りたい方にとっても有用です。まあでも、それが分かったところで自分の蜂群に寄生しているヘギイタダニの系統が分かるわけでもなく、変えられるわけでもないので、これまでと同じように防除は続けなければなりませんが。
ヘギイタダニの理解はますます深まっていますが、動物医薬やその他ギ酸やシュウ酸などの化学物質不使用の防除技術については、私の観点からは完成しています。私の養蜂場では、実験も含め薬剤や化学物質を完全に排除して5年以上になりますが、セイヨウミツバチ養蜂は継続できています。増えすぎる以外は特に困っておらず、来年もその先もこの調子でやっていけそうです。
課題のサバイバルテストは、防除というよりは目標です。ヘギイタダニ防除をしなければ、やはり9割は滅んでしまいます。今手元に、テスト群のうち生き残ったコロニーが一つだけあります。それは越冬中にほとんどの働き蜂が死にましたが、女王蜂と握りこぶしに満たない程度の働き蜂が、外部寄生中のダニとともに生き残りました。それらは現在徐々に規模を拡大させており、復活中です。
だからそれを、「ヘギイタダニの猛攻を切り抜けた抵抗性系統」と言えなくもありませんが、そう呼んで良いかと言うと、やはり憚れます。たまたま生き残っただけという感じがします。規模が小さいので採蜜どころではありません。蜂の量も、8月現在において分割はできません。来年は並の群れになっていると期待できますが、今年はただ飼っているだけです。命を繋いで行く生物としてはアリですが、商業養蜂としてはナシということです。
研究は尽きませんが、ヘギイタダニのことを考えなくても、商業的なセイヨウミツバチ養蜂ができるようになったら良いなと願っています。