2021-06-25

今年のハチミツ

生はちみつの発酵について」の続きです。

昨年の上荘エリアは凶作で、蜂は増えず、ハチミツも採れず、越冬中に大量死が起きるなど、どこも散々でした。それでも、今年は昨年よりは幾分マシです(低い状態と比べれば、いつだって今の方がマシです)。



ハチミツを略奪する無慈悲な人間

当養蜂場では、基本的にハチミツは蜂の餌だと考えています。蜂が毎日コツコツ集めた蜜をごっそり奪って良い理由はほとんどありません。

ハチミツは人にとってはもちろんのこと、蜂にとっても貴重な財産です。蜂を騙しておびき寄せ、世話らしい世話もせずにハチミツを取ることは「盗み」そのものです。その盗みが罰せられないのは、「ハチミツの所有者が人間ではないから」という理由しかありません。

一方向の財の移動は均衡がとれていません。つまり互酬関係(何かを受けたら相応の何かを返すこと)が保たれていません。このような互酬性は人間の世界にだけ当てはまるのではなく、万物に当てはまります。一方的搾取が許される世界は宇宙のどこにもありません。この世界の理(ことわり)に反した採蜜は、略奪というより他ありません。

強いて採蜜の正当化事由を挙げるとすれば、セイヨウミツバチでは自力で対処できない、秋季のオオスズメバチからの保護や、ヘギイタダニの駆除をしてやっていることくらいでしょうか。他には、営巣場所を提供してやっていることも挙げられるかもしれません。

それでも、これらの「正当化事由」も、ハチミツの略奪の言い訳としては弱いように思えます。