2026-07-10

アミトラズ抵抗性をもつヘギイタダニの出現

『ミツバチのダニ防除』では、アミトラズ(アピバール)が効きにくくなっている研究があることに触れましたが、ついにアメリカ合衆国でアミトラズが効かないヘギイタダニが現れたようです。

アミトラズが効かなくなったアメリカのダニのはなし
2026/2/13  投稿者: Tshozo

アミトラズは、フルバリネート(アピスタン)と比べれば、ヘギイタダニは抵抗性を持ちにくく、かなり長期間にわたって世界中で使われ続けてきましたが、ダニの方が進化を遂げてアミトラズを克服したようです。

それと同じ系統は日本にはいないでしょうが、アミトラズも効いていないようなことを聞くこともあるので、日本のダニにもなんらかの変化があるのかもしれません。

『ダニ防除』上梓から4年半しか経っていませんが、オーストラリアがヘギイタダニ汚染国になったりと、早くも内容が変わりつつあります。もし改訂版を出すことができれば、色々書き直さないといけませんね。

この薬剤抵抗性を有する新ダニの出現についてですが、普通なら養蜂の未来に悲観したり、戦々恐々としたりするところですが、わたしのところはノーダメージです。相変わらず、「雄バチ巣房刺し」、「温熱療法」、「サバイバルテスト」のトリプルコンボで、一切の薬剤・化学物質を使わずにセイヨウミツバチの飼育を続けられています。わたしのところの横長16枚巣箱の蓋を開けると、どの群も蜂で満杯です。

ケミカルフリー養蜂は、趣味の延長の有機農業ではありません。薬剤に依存した慣行養蜂の限界を乗り越える必然的な方法論です。是非皆さまには、薬代がかかる高ランニングコストの養蜂から脱却し、ケミカルフリー養蜂に挑戦して欲しいと願っています。

ところで、上の記事の投稿者Tshozo氏には、

ミツバチに付くダニのはなし
2022/10/18 投稿者: Tshozo

の中で、拙著をご紹介いただいています。Tshozo氏に感謝申し上げます。

2026-07-01

未だにニホンミツバチを「日本固有亜種」だと主張する研究者ら

北海道千歳市にニホンミツバチの野生のコロニーが発見された、との短報が公開されました。

https://jxiv.jst.go.jp/index.php/jxiv/preprint/view/5029

その報告自体は、特段不思議でもなんでもないことなのですが、そんなことよりも、未だにニホンミツバチを「日本固有亜種」だと主張する職業研究者がいることに驚きました。

ニホンミツバチは、わずか約432年のうちに日本にしか見られないどのような特有の形質を獲得したと言うのでしょうか? それは一体どのような形質で、朝鮮半島のものとどんな差があるのでしょうか? 何を根拠にニホンミツバチを「日本固有亜種」だと言っているのでしょうか? 是非ともご教示願いたいものです。

もしかすると、「在来種」という現在最も危険なタームを避けようとして「日本固有亜種」というタームを用いたのかもしれませんが、「日本固有亜種」には当然の前提として「在来種」の意味が含まれています。つまり、ニホンミツバチを「日本固有亜種」と呼ぶことはそれを「在来種」と呼んでいることと同じです。

今どき「ニホンミツバチは在来種」と言うのは、分子生物学の基礎を理解しておらず、古文も漢文もやってこなかったと白状しているようなものです。

ニホンミツバチが「日本在来種」でも「日本固有亜種」でもないことについては、拙訳『全訳 家蜂蓄養記』をご覧ください。人文科学のみならず自然科学(地質学、分子生物学)の観点からも、ニホンミツバチが朝鮮半島由来の外来種であることをご理解いただけます。

以下は、短報の見出しの引用です。

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プレプリント / バージョン1

北海道におけるニホンミツバチApis cerana japonicaの野生巣の発見

坂本, 佳子

国立研究開発法人国立環境研究所

吉田, 尚幸

北海道千歳市

森井, 清仁

国立研究開発法人国立環境研究所

抄録

ニホンミツバチ Apis cerana japonica Radoszkowskiは,アジアに広く分布するトウヨウミツバチApis cerana Fabriciusのうち,もっとも東方に生息する日本固有亜種である.これまで,ニホンミツバチの分布北限は青森県下北半島とされてきたが,2026年に北海道千歳市において野生コロニーの越冬が確認された.ニホンミツバチは北海道に自然分布しておらず,これまでに人為的な持ち込み事例が報告されていたものの,野生コロニーの営巣および越冬の記録はなかった.本報告は,近年の気温上昇により,ニホンミツバチが北海道において定着する可能性を示す重要な知見である.