蜂は、吸った花蜜(ネクター、nectar)を「蜜胃(胃の少し上にある蜜を溜める腔)に溜めます。その花蜜は「蜜胃」にある酵素と混ざり、花蜜とは異なる別のものになります。その酵素がまざった花蜜は8割が水分なのですが、9割程度蒸発させられ蜂蜜(ハニー、honey)になります。
上荘がつまった蜂蜜
一般向けの通俗的な本には、セイヨウミツバチの行動半径は2、3kmと書かれています。しかし、まともな論文は、通常は半径5、6km、最大で半径12kmまで飛んでいくと報告しています。
上荘の場合は特に蜜源に恵まれており、養蜂場のすぐそばに花がたくさん咲いているので、12km先まで飛ばなくても町内で十分蜜を集めることができているように思われます。
そのようなわけで、上の写真の蜂蜜は、この春に上荘で咲いた花の蜜でできているものと思われます。分かっているものだけでも、桜、タンポポ、レンゲ(ゲンゲ)、シロツメクサ、柿、蜜柑、ニセアカシア、栗が咲いていました。それら以外にも無数の花が咲いていましたから、それら数多の花の蜜がブレンドされ上の蜂蜜になったというわけです。
蜂蜜以上のもの
蜂は花蜜から蜂蜜を作りますが、作り出しているのはそれだけではありません。むしろそれは蜂が作り出すものの一部でしかありません。
より重要なことに、蜂は花々に実をつけさせてもいます。実がなるのは数か月後のことですが、上荘で稔る実のいくらかはミツバチが稔らせたものです。ミツバチは蜂蜜だけに留まらず、豊かな実りをも産み出しているのです。
「上荘養蜂場の蜂蜜」に続きます。