越冬にどれだけの量の蜂蜜を必要とするのか

冬は、ビワやローズマリー等一部の植物を除いてほとんど咲きません。花のない時期、蜂たちはそれまでに蓄えていた蜂蜜でやり過ごしています。冬期のミツバチのやることといえば、巣の中で蜂蜜を食べながらおしくらまんじゅうをすることくらいです。

しかし、この蜂蜜が尽きてしまうと巣内の温度を保てずに凍死してしまいます。そのため、養蜂家は越冬用の餌まで採ってしまわないように気をつけています。

それにしても、一体どれだけの蜂蜜があれば蜂は無事に春を迎えることができるのでしょうか。養蜂書を紐解くと、越冬に関し様々な見解が述べられていますが、現代では「10枚箱1段の場合、蜂量は5、6枚以上(1万匹超)、蜜は蓋がけ蜜枠2、3枚以上とし、暖かいところに置く」とするのが一般的のようです。しかし、これはあまり意味のない指針です。

まず、地域差や年度差があります。温暖な地域や暖冬の場合は、越冬の確率は高くなりますが、年によって寒さの厳しさは変わります。これを秋の段階で正確に予想することはできません。また、早春の「寒の戻り」は凍死リスクを特に高めるもので、地域差や年度差の問題を無意味なものにしてしまいます。その他、ダニや疫病、女王蜂の健康や蜂群の勢い等、さまざまな因子も影響し合います。これらをすべて計算に入れて正確な答えを出すことはできません。

それでも貯蜜が多ければ多いほど、越冬確率が上がるのは確かです。


仮定


ここで、仮定として、まず、12月から2月までの3か月間、蜂蜜が必要だと考えましょう。3か月は約90日ですが、便宜上100日とします。

次に、蜂蜜1kgのカロリーは3000kcalとし、巣枠1つには蜂蜜が2kg蓄えられているとします。

また、蜂1匹の重さは0.1gとし、巣箱の中には1万匹の蜂がいるとします。


1万匹のミツバチが1日に必要とする蜂蜜は10g?


1匹0.1gの蜂が1万匹いるとする(5枚群相当)と、その蜂群の重さは全体で1kgとなります。この1kgの蜂が1日にどれだけの量の蜂蜜を食べるのかと言うと、おそらく10gの蜂蜜を食べているものと推定されます。

どういう計算なのかと言うと次のとおりです。すなわち、活動強度の低い体重60kgの人は1日に1800kcal消費します。体重1kgの人はいませんが、もし1kgならば1日の消費カロリーは1800kcalの60分の1、つまり30kcalですむことになります。蜂蜜は1kg3000kcalですので、その100分の1の10gで足りことになります。

巣枠一杯の蜂蜜は2kgですので、1万匹のミツバチ200日分の食料になります。巣枠1つで100日の冬を悠々乗り越えられることになります。

上の計算の問題点は、人間とミツバチの代謝量を同じに考えていること、そして巣箱の中でおしくらまんじゅうしている蜂の1日の消費カロリーを人間で言うところの低強度のものとみなしているところです。

蜂の活動の強度が高強度と考え、2倍のカロリーを消費しているのだとすると、1日の消費蜂蜜量は、10gではなく20gとなり、2kgの蜂蜜は1万匹のミツバチ100日分の食料となり、巣枠1つの蜂蜜は、冬の3か月間に必要なギリギリの量ということになります。


養蜂箱1箱あたり蜜巣枠2枚あれば必要十分


このようなことから、蜜が十分貯まった巣枠1枚以上用意していれば、箱いっぱいの蜂が越冬中に餓死することはないものと思われます。そして、この計算は、実際の経験に照らしても妥当なように思われます。

もちろん、年によって冷え込みがきつい年もあれば暖冬もありますし、冬が長引くこともあります。その他、育蜂に必要なカロリーや蜂が春到来と勘違いしてアクセルをかけるタイミングを間違えたりとさまざまな問題は起こりえます。それらを加味して、できれば2枚分の蜂蜜を用意していれば問題はないでしょう。

それでも駄目なことは起こりえます。もしそのようなことが起こるなら、それはそれで仕方のないことです。

しかし、心配しすぎることはありません。冬の間でも花が咲いていないわけではなく、また暖かい日がないわけでもありません。蜂は蜂でなんとかやって行くものです。

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