未交尾女王蜂について


女王蜂の交尾飛行と産卵開始に要する日数について


一般的な養蜂書を紐解くと、「女王蜂は出房(羽化)後5日頃に交尾飛行に飛んで行き、直ちに産卵を開始する」といった趣旨のことが書かれています。しかし観察していると、実際は出房から5日後に飛んでいく女王蜂は珍しく、多くの女王蜂は出房から10日ないし2週間後に飛んで行き、それからしばらくして産卵を開始しているようです。

研究者の論文を確認すると、「セイヨウミツバチの交尾飛行の開始は羽化から6日ないし11日で、交尾は7日から17日」といった趣旨のことが書かれており、上の観察と概ね一致します。

ニホンミツバチとセイヨウミツバ チの交尾時刻と交尾場所の相違

最初に紹介した一般的な養蜂書の記述は、完全な間違いではありませんが、出房から5日後に交尾し産卵を開始するとというのは、ややミスリーディングなところがあるように思います。

女王蜂が羽化してから直ちに交尾飛行に出ていかないのは、「性成熟」に時間がかかるからです。また、最短日数と最長日数に倍ほどの幅があるのは、個体差や天候によるものです。


未交尾女王蜂の末路


上の観察からも、女王蜂は羽化から2、3週間後には産卵を開始しているものですが、なかなか産卵を開始しない女王蜂もいます。産卵を開始しない原因のひとつに未交尾であることがあります。

羽(翅)やそれを動かす筋肉に問題があって飛ぶことができない女王蜂は当然に交尾することができません。また、梅雨など交尾飛行に出かけるタイミングに雨が続くと交尾の機会を逸してしまい、そのままになることもあります。

産卵しない女王蜂を飼い続けるとどうなるかというと、2か月で民である働き蜂は寿命が尽きて居なくなり、最後に王だけが残ることになります。しかし、その王も働き蜂の世話を受けられなくなるために一晩で死んでしまいます。
女王蜂が交尾しないと、群れはわずか2か月で消滅してしまうのです。


オス蜂だけを産む女王蜂


未交尾女王蜂が産卵することもあります。しかし、その女王が産む卵から出てくるのはオス蜂ばかりです。オス蜂は蜜や花粉を集めに行くことはしません。また、育児や掃除といった巣内の仕事もしませんから、群れの運営に貢献することはありません。そのため、働き蜂がいなくなる時にオス蜂も共に滅びることになります。

オス蜂を産む女王蜂は、オス蜂を介して自分の遺伝子の半分を残すことには成功しますが、養蜂家にとっては一群を失うことになり何のメリットもありません。


働き蜂の異常な行動


さて、女王蜂が突然群れからいなくなると、働き蜂は、働き蜂候補の幼虫を急遽女王蜂候補に仕立てます。この時にできる巣は特に「変成王台」と呼ばれています。

この変成王台は女王蜂を育てるための巣房なので、他の働き蜂の巣房よりも一回り大きくなっています。中の幼虫には引き続きロイヤルゼリーが与えられ一回り大きく育ち、ついには女王蜂になります。その結果、群れは新女王蜂が引き継ぎ、消滅を免れます。

しかし、上のオス蜂しか産まない女王蜂の場合、巣内の卵も幼虫もオスばかりです。オス蜂が女王蜂になることはありませんが、それにもかかわらず、働き蜂はオス蜂の巣房を王台に作り変えてしまうことがあります。

オス蜂の幼虫が変成王台の中でロイヤルゼリーを与えられると、一体どうなってしまうのかというと、見慣れないほど大きなオス蜂が生まれてくることになります。

大きなオス蜂で群れが救われることはありません。女王蜂が未交尾ではどうにもならないのです。

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