ビニール袋は保温に役立つか

「収納用の大きな、かつ厚くて破れにくい透明なビニール袋で養蜂箱を包むなら、ビニールハウスのように暖かくなり楽々越冬できるのではないか」という誰もが思いつきそうな、しかし誰もやらない、それにはきっとやらない理由があると思われる「迷案」を試してみました。

ビニール袋は意外と大きく、養蜂箱(7枚)が都合よく収まりました。


デジタル温湿度計は巣枠の上に置きました。Switchbotと言う商品で、Bluetooth通信でスマホからログを取り出すことができます。温度を知るためにわざわざ蓋を開ける必要はありません。

その結果がこれです。

前面以外は底面も含めてビニール袋で覆ったというのに、「夜から早朝、そして日があたるまでの間は、巣箱内温度の方が外気温よりも低い」という驚愕の結果が出ました。ビニール袋は越冬目的の保温には逆効果ということです。

もっともこの結果は、実験を始める前から予想されていました。

どのような物体も常に熱を放射し、温度は下がっています。これを放射冷却といいます。熱という電磁波は宇宙の果てまで飛んでいっているのです。夏であろうと冬であろうと、昼であっても熱を放射し続けています。

物体に熱を与えるものに、太陽光や地熱、媒体としての空気があります。特に養蜂箱の場合はミツバチ自体も発熱し熱源のひとつになっています。

夜は太陽からの熱が得られないので熱は放射していくばかりです。結局どのような物体の温度も、地熱で加温される場合を除いて外気温と同じになります。

しかし、ビニール袋をかぶせると空気の層ができてしまい、そこで良くも悪くも外の空気から遮断され、しかし同時に熱の放射は続くため、ビニール袋の中の物体の温度は外気温よりも下がることになります。もしビニール袋をかぶせていなければ外の空気と直に触れ同じ温度になっていたのですが、余計なことをしたせいで巣箱の温度は下がるという期待とは逆の結果になってしまいました。

こうした現象は養蜂箱に限らず全宇宙のビニールハウスにおいても同じことが起きています。また、ビニール袋を使わなくても、養蜂箱を厳重に密閉し空気の循環を妨げるなら、(蜂の発熱を度外視しますが)巣箱の温度は外気温よりも下がることになります。

もちろん一般的には蜂が発熱するため、養蜂箱の温度が外気温よりも下がることはないでしょうが、弱群ならそうしたことは十分起こりえます。

わたしはデジタル温度計を使ってこのような現象をわざわざ確認しましたが、多くの人がそもそもこうしたことを行わないのは、一目瞭然、湿気るからです。


たった48時間でこれだけ結露しました。この群れは強群どころか、非常に小さな群れです。一体どれだけ花蜜を集めてきたのでしょうか。


根本的に言えば、ビニール袋のどこかに穴を開けて外気が通じるようにし、また、湿気がたまらないようにするならビニール袋も昼間の加温には役立つでしょう。しかし、自然にないことをわざわざする必要もありません。メリットよりもデメリットの方が上回ります。

なお、同様の温度モニタリングは昨年の12月にも行っています。

温湿度計による巣箱内温度のモニタリング

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