2022-11-25

わざわざ額面蜂児を作らせるとヘギイタダニを増加させることになる

「額面蜂児」とは、隅から隅まで蜂児が詰まっている巣枠のことです。蜂の量は多い方が良いので、少しでも多く蜂児を育てようと、人為的に額面蜂児を作らせる人もいます。しかし私はそうしたことを推奨したいとはまったく思いません。というのも、それはヘギイタダニを増やす原因のひとつだからです。

よほど群れに勢いがある時を除き、巣枠の全面が蜂児で埋め尽くされることはありません。蜂児が多い場合でも、蜂児圏は、横長の楕円形、あるいは緩やかな逆三角形になるのが普通です。四隅が蜂児で埋まることはなかなかありません。

蜂は巣内で球を作りますから、中心は温かく周辺ほど温度は下がります。そのため、巣枠の端、四隅などは蜂が少なく温度が外気温の影響を受けやすくなり、蜂児の成長は遅れます。読者は、巣枠の端の方の育房が、蓋がかかったままになっているのを見たことがあることでしょう。

働き蜂の蛹の期間は通常は12日ですが、周辺の蛹はそれよりも1、2日出房が遅れます。もしヘギイタダニが寄生している場合、その1、2日の遅れのせいで、倍の数の成ダニが出てくることになります。

無理やり額面蜂児を作るのではなく、蜂に任せておけば良いのです。蜂が必要と判断すれば放っておいても勝手に額面蜂児を作ります。もしそうならないなら、それは必要ではないからです。目先の利益のために小手先を使ったりしないのが賢明です。