群馬県立図書館は、2024年度から、市町村立図書館との役割・分担調整のために、「小説や絵本など娯楽要素の強い書籍から、歴史や農業技術、経済学など専門書を中心に置き換える」とのことです。
https://mainichi.jp/articles/20230909/k00/00m/040/130000c
私は群馬県に限らず、どこの都道府県も同じようにすべきだと考えています。例えば宮島未奈『成瀬は・・・いく』は、滋賀県立図書館に置かれるのは必然としても、純粋に娯楽なのですから、わざわざ都道府県図書館に置く必要は乏しいと感じます。そのような本に予算を充てるくらいなら、『全訳家蜂蓄養記』を置くべきでしょう。
さて、この度、群馬県立図書館さまが、拙訳『全訳家蜂蓄養記』を「ニッチな一冊」に紹介してくださいました。数ある出版物の中からピックアップいただけたことを光栄に感じています。
本書は、江戸時代の養蜂というニッチなテーマを扱っていますが、日本の歴史に関わるものでもあります。従来の、先史時代の人々や古代人が蜂蜜やミードを楽しんでいたとする誤った歴史認識は、本書によって打ち破られました。
ニホンヤモリが在来種ではなく外来種であることは、東北大学の千葉聡氏の研究グループにより明らかにされ、特に反論もなく受け入れられています。一方で、ニホンミツバチは、愛国心ビジネスや環境保護ビジネスのアイコン、または研究費獲得の出汁にされているため、「ニホンミツバチは朝鮮出兵の時に連れて来られた外来種」という本書の研究結果は、感情的な抵抗を受けています。
もし群馬県立図書館と同じように、他の都道府県図書館も「ニッチな一冊」を所蔵していくなら、上のような誤った歴史認識は、拙著の「知識の結晶」によって静かに正されていくことでしょう。