「加古川市における上荘町」の続きです。
「みとろフルーツパーク」と「みとろ観光果樹園」の関係
上荘町には、「みとろフルーツパーク」という市の施設があります。ガラス温室や展望台、バーベキューブース、花畑や芝生広場がウリで、市民の憩いの場となっています。
その西隣りには、これとコンセプトを同じくする「みとろ観光果樹園」があります。事実上連続した施設ですが、みとろ観光果樹園は地元の「みとろ生産組合」が運営する果樹園です。ぶどう狩りや栗拾い等、季節ごとにイベントを開催しています。
前者が市の施設で後者が私企業(農事組合法人)であるものの、ほとんど区別らしい区別がされていないのは、みとろフルーツパークの指定管理者が「みとろ生産組合」だからです。主体は別ですが、管理者はどちらも同じということです。市と私企業の協同は相乗効果を狙ってのことで、区別はされていますが事実上一体の施設です。
事業としての「みとろフルーツパーク」
この「みとろフルーツパーク」は、常勤スタッフ40名、非常勤スタッフ8名で運営されており、年間約4200-5500万円のコストがかかっています(人件費は約2800万円)。そのほとんどが市からの財政支出によって賄われています。
来場者数は推定で年間16万人程度です。一年に一度どころか数年に一度も利用していない市民は少なくないでしょう。ひょっとしたら一度も来たことがない市民も相当数いるかも知れません。
フルーツパークがオープンしたのは1999年です。開園から20年たったわけですが、27万の市民にとって(もちろん、市民以外も利用できるわけですが)まだ十分身近なものとはなっていないように思われます。
http://www.city.kakogawa.lg.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/260/h29_day1_1-2_mitoro-fp.pdf
ウォーキングセンター
フルーツパークの北側には「ウォーキングセンター」というあまり知られていない施設があります。
加古川市の意図としては、小野アルプス等周辺を散策するための拠点として活用して欲しいようで、無料の更衣室とシャワー室が用意されています。
また、研修室もあり、これもまた無料で利用できます。実際の利用は何かを研修するというよりは、空間をタダで使わせてもらえるといったもののようです。
八ツ塚古墳群
この「みとろフルーツパーク」の頂上、標高79-82mのところ(上荘町井坂八ツ塚山)に八ツ塚古墳と称されている5基の古墳があります。6世紀末に造られた1基を除き、3世紀後半から4世紀に造られたものです(加古川市史第四巻、pp355-356)。
古墳は5基しかないのに、なぜ「八ツ塚」なのでしょうか?地元では昔から、「8つの古墳がある」と言われてきたからです。発掘調査したところ古墳の数は5基だということがわかりました。数え間違えたのか、数え方が違ったのかは分かりません。
古墳時代の地元の有力者は、加古川を見下ろすことができる見晴らしの良いここが気に入ったのでしょう。
なお、石室は埋め戻されているため、あるのは盛り土と杭状の標識のみです。発掘の様子はギャラリーに展示されている写真で見ることができます。
蜜源植物
フルーツパークには非常に多くの梅が植えられています。2月頃に開花します。2月はまだ花が少ない時期ですから、ミツバチにとっては貴重な餌(蜜源)となっています。みとろフルーツパークは地元のミツバチを養っていると言っても過言ではありません。
それ以外にも、ローズマリーや、芝滑り近くのフレンチラベンダーも、ミツバチにとって魅力的な餌(蜜源)となっているようです。
このように、フルーツパークを利用する市民は必ずしも多くはありませんが、市民ならぬ「市蜂」にとっては大いに訪問し甲斐のある施設となっています。
「心中池の謎」に続きます。