「ニセアカシアが開花を始めました」の続きです。
人間にとって柿のシーズンといえば当然に秋ですが、ミツバチにとっては初夏の今がまさにそれです。
さて、ミツバチが蜜を集める柿の花は一体どのような形をしているのでしょうか。
花の特徴
柿の実を見たことのない人はいないでしょうが、柿の花となるとどうでしょうか。実物を見たことがなくても、インターネットの時代の今なら、「柿、花」で検索すればすぐに画像は出てきます。
インターネット検索に出てくる柿の花と言えば、4枚の大きな緑色の萼(ガク)、そして4枚のクリーミィな黄色の花弁がほとんどです。それはそれで間違ってはいないのですが、その画像の大半は「雌花」の方です。
上の写真は柿の雌花です。ミツバチだけでなく、アリが集(たか)っていることもあります。アリも蜜を吸うのです。蜜を出すのは当然に雌花の方です。
次の写真は雄花の方です。雌花と比べるとこじんまりとしており、また花弁の開き方も異なっています。
雄花から蜜は出ませんが、それでもミツバチは訪れます。花粉を採るためです。
今度柿の樹を見られましたら、雌花だけでなく雄花も探してみてください。
雌雄異花
上のように柿の花は、 雄花と雌花が分かれているのが一般的です。中には、雄しべと雌しべを備えた両性花のものもあります。また、雌花しかつけない株と、雄花しかつけない株に分かれている「雌雄異株」のものもあります。その場合の雄花しかつけない株は、特に「受粉樹」と呼ばれます。
一言で「柿」と言っても種類は多いわけですが、ミツバチにとってはそのような違いはあまり重要ではないようです。ミツバチの関心事と言えば、雄花から花粉を、雌花からは蜜を可能な限り集めることだからです。
花粉交配者としてのミツバチの役割
先程「雄花と雌花が分かれている」と書きましたが、雄花と雌花が分かれている植物の場合、花粉を集めずに蜜だけを吸う吸蜜昆虫は蜜が出る雌花の方にしか用がないため、肝心の受粉は偶然的にしか行われません。柿の花としては、蜜の吸われ損となります。しかし、ミツバチは雌花の蜜だけでなく雄花の花粉にも用があるので、受粉は必然的に行われます。ミツバチが「主要な花粉交配者」と呼ばれる所以です。
もっとも、柿の雌花は必ずしも受粉しなくても実をつけることができます(単為結果性)。その場合、種なしの実となり、食べる側としては非常に都合が良いものとなりますが、花や実が落ち易くなる欠点があります(生理落果)。
一方で、受粉すると実は落ちにくくなります。 ミツバチが熱心に花粉と蜜を集めれば集めるほど、柿は多く実り、落ちにくくなるというわけです。
さて、柿にとってミツバチは必要でしょうか、それとも不要でしょうか。
上荘の柿
柿の花を見たくなったでしょうか?もし見るのなら今です。
上荘なら、家の庭に植えている人も多くいますし、畑に植えている人も珍しくありません。みとろ観光果樹園にも沢山植えられていますから、比較的容易に見ることができるでしょう。
「複雑な栗の花」に続きます。