複雑な栗の花

雌雄分かれる柿の花」の続きです。

6月は栗の季節です。といっても実の方ではなく、花の方です。
5月下旬から既に、栗の開花は始まっています。開花と言っても、栗の花は小さな花が連なって穂状になっており、花が咲くと言うよりは、白く色づくといった具合です。


雌雄異花


さて、栗の花は両性花でしょうか、それとも雌雄異花でしょうか。答えは「雌雄異花」です。白い穂は花ではなく小さな花の集合なのです。その花序には多くの小さな雄花が、花序の基部には雌花がついています。

これらが雄花です。
こちらが雌花です。
イガグリの前身のような花ですね。

柿の花は雄花が少ないですが、栗の場合はその逆になっています。また、柿の場合は雄花と雌花が別々になって離れていますが、栗はひとつの大きな花のような穂に多くの雄花と雌花を備えています。そのため、柿と比べると受粉のチャンスが高いように見えます。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。


自家不和合性


栗には「自家不和合性」が強いという特徴があります。つまり、自分のところの雄花の花粉を受粉しても実はなりません。実るためには、他の栗の樹の雄花から受粉する必要があります。ひとつの穂に雄花と雌花が揃っているからと言って、実りやすいわけではないのです。

そこで役立つのがミツバチです。いうまでもなくミツバチは、樹から樹へ花から花へと飛び回っています。自家不和合性の強い栗も、ミツバチがいれば安心です。


虫媒花?風媒花?


今「ミツバチがいれば安心です」と書きましたが、栗は穂を垂らしています。あの形状から察して風媒花なのではないでしょうか?実際、あちこちに飛び散った栗の花粉を見たことがある人もいるでしょう。「クリ花粉症」という花粉症もあるくらいです。

確かに栗は、花粉を100mほど飛ばすことができる風媒花で、風によっても受粉可能ですが、現実の受粉は主に虫によって行われています。従って、「風によって受粉することもある、事実上の虫媒花」というのが実体に即しています。

虫たちも栗の花の蜜は大好きで、ミツバチだけでなく、クマバチ、カナブン、その他多くの種類の昆虫が蜜を吸いにやって来ます。これら訪花昆虫のおかげで、わたしたちは秋には栗拾いができるわけです。秋の味覚は今この時期の虫たちの頑張りにかかっているというわけです。


上荘の栗、薬栗


上荘では、栗の花は至るところで見ることができます。みとろ観光果樹園にも沢山植えられています。入場しなくても傍からよく見ることができます。

ところで、上荘には「薬栗」という大字があります。この薬栗は、かつては「葛栗」と書き表されていました。「葛栗」と呼ばれた時代には、葛と栗が豊富だったのでしょう。しかし、現在の薬栗は、取り立てて栗の木が多いわけではありません。1000年以上も前のことですからね。今の植生が昔から変わっていないと期待することはできません。


栗の蜂蜜


栗の蜂蜜はどす黒い色をしています。鉄分を多く含んでいるためです。

日本の養蜂家の多くは、栗の蜜が混じると生臭くなると言って、栗の蜜は採らずにミツバチの餌にしてしまいます。しかし、上荘で採れる栗の蜂蜜は、黒い色からして栗の蜜であることは確かなのですが、どいうわけか生臭さはありません。ニセアカシアの蜂蜜と混ざって風味が変わっているのかも知れません。

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