「カラスウリは蜜源植物になるか」の続きです。
ヤブガラシ
ヤブガラシはブドウ科の植物で、真夏の盛りによく蜜を出してくれます。花は上の写真のとおり非常に小さく3mm程度しかありません。見覚えのない人もいるかもしれません。
この昆虫にとって砂漠のオアシスのようなヤブガラシも、人間にとっては忌むべきものです。いくら刈っても根絶やしにすることができないからです。 ヤブガラシは、種で繁殖しますが、栄養繁殖によっても増えていきます。たとえば、刈ったツルをそのままにしていると、そこから根を伸ばして根付いてしまいます。刈れば刈るほど繁殖に貢献してしまうというわけです。
そのようなわけで、刈った草は放置してはならず回収し、別途処分しなければなりませんが、それでも根絶は困難です。というのも、地下1m深くまで伸びている根は残り、何度でも生えてくるからです。土を掘り返せば文字通り根絶やしにすることはできますが、そこまでする人もいません。結果的に、ヤブガラシは一度根付いてしまえば、その後ずっと生え続けることになります。
アレチウリ
アレチウリは、ヤブガラシの開花よりも少し後の8月の終わりから秋にかけて花を咲かせます。ウリ科の植物なのでこれもまたよく蜜を出します。加古川では、加古川河川敷に広く繁茂しているのを見ることができます。同時に多くの昆虫が蜜を吸いに来ているのも見ることができます。
さて、この「アレチウリ」ですが、特定外来生物に指定されており、栽培はもちろん、保管も移動も禁じられています。実際のところアレチウリは食用に適さず、その棘は凶悪で、衣服を突き通し、刺さった棘も抜くのが難しく、耕作地で繁殖すれば農業の妨げとなります。
防除の方法としては実がなる前に刈り取ることが勧められていますが、種は数年間保つので、一度生えると何年も完璧な駆除を続けなければなりません。なお、加古川河川敷に限って言えば、上流から種が流れてくるため駆除は事実上不可能です。
価値ある防除困難植物
アレチウリもヤブガラシも、農業の妨げとなることから、人間の近視眼的な観点からは望ましくない植物とされています。しかし、よく考えると(よく考えなくても)、アレチウリもヤブガラシも、夏の厳しい季節に多くの昆虫を養っていることが分かります。
蜂を含む訪花昆虫を養うということは、その植物だけでなく、その地域一体の植物の受粉を促進するということでもあります。その結果、植物は栄え、その恩恵に虫や鳥、動物たちが与ることになります。
結局のところ、アレチウリもヤブガラシも生態系の一端を担っています。人間の経済的な都合のために「コレは有益でアレは有害だ」と決めて駆除まで行うというのは、人の無知と愚かさ、傲慢さを表しているように思えてなりません。
「ミツバチはどこから蜜を集めてきているのか」に続きます。