「夏の蜜源--夏蕎麦」の続きです。
これまでカラスウリの赤い実は見たことがあったのですが、花は一度も見たことがありませんでした。しかし先日、夕方遅くまで養蜂場で作業していたところ、初めてカラスウリの花を見ることができました。それがこれです。
特徴的で少し驚きましたが、あり得ない造形とまでは言えません。
ミツバチには恩恵のない蜜源植物
カラスウリは、ウリ科の植物なので蜜を沢山出すはずです。なので、蜜源植物として大いに期待していたのですが、文献によると、花は夕方から咲き始め朝にはしぼんでしまうことが分かりました。これでは(ミツバチにとって)蜜源植物としての用をなしません。
ミツバチは紫外線を頼りに巣に戻るため、太陽が出ている間しか外で活動できません。夜間はもっぱら巣の中で蜂蜜の濃縮作業に勤しんでいます。蜂が巣に戻ってから咲き、翌朝仕事に出る頃にはしぼんでいるのですから、タイミングがあいません。まるでミツバチのことを避けているかのような咲き方です。
開花時間帯が合わないだけでなく、花の構造もミツバチには合っていません。花筒が長く、体の小さいミツバチでは口(吻)が届きません。ミツバチでは受粉させることが難しいのです。
どうも、カラスウリとミツバチは相性が悪いようです。
誰が為に花は咲く
蜂を飼っていると、ついつい蜂中心に思考してしまいがちですが、世の中には蜂しかいないわけではありません。夜行性の昆虫もたくさんいます。
カラスウリは夜に咲くことで、捕食者に見つかりにくい時間帯にしか行動できない生き物に蜜や花粉を提供しているのです。
実は秋頃に稔ります。餌の少ない冬期に鳥にとって貴重な餌となります。カラスウリもまた生態系の一端を担ってくれているのです。
「防除困難植物ヤブガラシとアレチウリの存在意義」に続きます。