2020-01-17

暖冬と梅の花

セイタカアワダチソウは生態系を害するか?」の続きです。


今年の梅の花の開花


今冬は異例の暖かさで1月になっても春のように暖かい日があるくらいです。みとろフルーツパークでは13日に梅の花の開花が始まりました。


蜂たちも晴れていれば概ね外勤に出かけています。まるで越冬などしないかのようです。


暖冬は越冬に有利か?


暖冬がミツバチの越冬に有利かと言うと、一般論としては「そのとおりだ」と言えます。温暖地の方が越冬確率が高いわけですが、暖かければ消費する蜜も少なくて済み、貯蜜切れを起こすこともありません。それと同じ理屈が成り立つわけです。

しかし、ことはそう単純ではありません。蜂は蜜を吸ってから外勤に出ますが、その蜜の消費を上回る蜜を持って帰らなければ無駄に蜜を消費することとなります。冬は暖かくとも花の数は限られているため、外勤に出たとしても十分な収穫を得られず収支としてはマイナスになる、という理屈です。

養蜂を始めた当初に上のような説明をどこかで読んだ覚えがあるのですが、今のわたしはそれに懐疑的です。


意外に多い冬の蜜源植物


まず、ミツバチは蜜を無駄に探し回ることはしません。まずは斥候隊/先発隊を派遣し、それの報告を受けて初めて本隊を出動させます。

次に冬でも意外と蜜源はあるものです。主に、ビワ、ローズマリー、ヤツデ、チャなどがあります。最も寒い頃には梅が咲き始めます。

このようなわけで、空振りの外勤蜂が蜜を無駄に消費するという事実はないわけです。


寒の戻り


それでも、蜂が春が到来したと勘違いし蜂児の育成を加速させ、蜜を急速に消費させてしまうことがあります。その蜜が切れたタイミングに寒の戻りがあると、春を目前にして凍死で全滅ということが起こりえます。

これは防ぎようがありません。春が到来したとの蜂の判断を覆すことはできませんし、地球的気象の変化を変えることもできません。寒の戻りに対しては十分な蜂蜜でしか対応できませんが、半年後の蜜の残量を秋の段階に予想することはできません。半年間の花の量と蜜の出ぐあい、蜂の増加量、活動量、天候等々を計算するのは無理というものです。

これについては自然に任すしかなく、できることといえば、なるべく多く蜂蜜を残しておき、また一定の確率で蜂群は失われることを弁えて蜂群を多く残しておくことくらいです。

と、悲観的なことを書きましたが、一般的には蜂の好きに任せて春を待っていれば良いだけです。梅の花が咲いてもまだ春は来ていませんが、梅の花はゴール目前のスペシャルドリンクのようなものですから、今日まで生き延びていれば越冬に成功したようなものです。

夏蕎麦の発芽」に続きます。