「聖書とハチミツ7―シリア・ミツバチに喩えられたアモリ人」の続きです。
アリストテレスについては特に説明不要でしょう。
アリストテレスは『動物誌』の第5巻21章と22章の中でミツバチについて書いています。そこには現代の知見からは大いに間違った珍説が多数収められています。
雄蜂は別の種類の蜂
アリストテレスは、ミツバチには「リーダー」と「役に立つ蜂」がいると考えました。それらはつまり女王蜂と働き蜂のことです。しかし、アリストテレスは女王蜂は雄だと考えていたので「リーダー」としています。また、雄蜂の存在には気づいているようでしたが、それは別の種類の蜂だと考え、「ケーペーン」と呼んでいます。これについては、女王蜂と働き蜂は外観がほぼ同じであるのに対し、雄蜂は大分異なるので、そのように考えたとしても仕方ないところはあります。
当時のギリシア人は女王蜂を雄だと考えていたので、アリストテレスもそれに倣っていたわけですが、そうするとミツバチがどのように生じるのかという問題が生じます。そこで当時一般的だった、「花から生じそれを連れ帰って巣房に入れている」という通説を紹介しています。この説は現代から見るとおかしな説です。アリストテレスは、有力説として「ケーペーン」が雄蜂で、ミツバチ(働き蜂)は雌という説や、リーダー(女王蜂)がミツバチ(働き蜂)を産むという説も紹介しています。これらの「有力説」が正解であることは言うまでもありません。
針、複王制、花の蜜の正体、幼虫の生態
蜂が蜜を花から集めていることは正しく認識していました。しかし、花の蜜は、花の分泌物ではなく、空気中の霧が溜まったものだと考えていました。これは当時のギリシア人が一般的に信じていた考えです。
アリストテレスを笑って良いのは間違ったことのない者だけ
雄蜂は別の種類の蜂
アリストテレスは、ミツバチには「リーダー」と「役に立つ蜂」がいると考えました。それらはつまり女王蜂と働き蜂のことです。しかし、アリストテレスは女王蜂は雄だと考えていたので「リーダー」としています。また、雄蜂の存在には気づいているようでしたが、それは別の種類の蜂だと考え、「ケーペーン」と呼んでいます。これについては、女王蜂と働き蜂は外観がほぼ同じであるのに対し、雄蜂は大分異なるので、そのように考えたとしても仕方ないところはあります。
当時のギリシア人は女王蜂を雄だと考えていたので、アリストテレスもそれに倣っていたわけですが、そうするとミツバチがどのように生じるのかという問題が生じます。そこで当時一般的だった、「花から生じそれを連れ帰って巣房に入れている」という通説を紹介しています。この説は現代から見るとおかしな説です。アリストテレスは、有力説として「ケーペーン」が雄蜂で、ミツバチ(働き蜂)は雌という説や、リーダー(女王蜂)がミツバチ(働き蜂)を産むという説も紹介しています。これらの「有力説」が正解であることは言うまでもありません。
針、複王制、花の蜜の正体、幼虫の生態
針については、雄蜂にはなく、働き蜂にはあり、女王蜂にもあるが刺さないことを記述しています。これも自説ではなく、他の人の説としての紹介に留めています。
リーダーつまり蜂王(女王蜂)は、コロニーに数匹いると言っています。これはリーダーには2種類あるという先入観に基づいて観察した結果、導き出されたのでしょう。「火のような色」の蜂は、たまたま明るい色で生まれた働き蜂と思われますが、それをアリストテレスはリーダーにカウントしてしまったわけです。
蜂が蜜を花から集めていることは正しく認識していました。しかし、花の蜜は、花の分泌物ではなく、空気中の霧が溜まったものだと考えていました。これは当時のギリシア人が一般的に信じていた考えです。
小蛆、つまり幼虫の時は糞をしないが、出房後に糞をする、と書いています。これも半分間違いで、ミツバチは幼虫の間は糞をせずに蛹になった時に糞をします。
アリストテレスを笑って良いのは間違ったことのない者だけ
アリストテレスはミツバチについてかなり突っ込んだことを書いていますが、その実、間違いだらけです。ギリシアの哲人、万学の祖でさえこのとおりです。ならば、わたしたちは一体どれだけ思い込みと偏見に囚われて蜂を見ているのでしょうか。
現在常識とされている事柄や「科学的」とされている事柄も、意外とトンチンカンなものであるかも知れません。