「わたしの養蜂具――虫眼鏡」の続きです。
前回は皆さんが使っていないと思われる養蜂具を紹介しましたが、今回は皆さんが使っていてわたしは使っていない養蜂具についてです。
それは燻煙器です。セイヨウミツバチの養蜂家のほとんどが燻煙器を用いています。煙で燻して蜂を大人しくさせるためです。蜂に煙を吹きかけるのは、「蜂が山火事と勘違いして巣から逃げる準備を始め無駄な闘争をしないためだ」、と一般に説明されています。対して、わたしの意見は、煙をかけたくらいで大人しくなったりはしないだろう、というものです。ニホンミツバチは煙を吹きかけなくても大人しいものです。ならば、煙は関係ないのではないでしょうか。
煙に効果があるかどうかはさておき、わたしがそんなことをしないのは、まず、蜂が可哀想だからです。何の罪も犯していないのに煙を吸わすというのは虐待です。わたしにはそんな酷い真似はできません。次に、蜂が襲ってくるとしても、面布を被って防護服を着て手袋をしていれば何の問題もないからです。さらに、気配を消して振動を与えずにそっとしていれば、蜂が騒ぐこともないからです。
わたしの意見では、燻煙器を使っている養蜂家は蜂を相当手荒く扱っているに違いありません。蜂に対する敬意が欠けているのでしょう。あるいは蜂をむやみに恐れているのでしょう。
燻製蜂蜜問題
巣箱に煙を入れる問題は他にもあります。蜂蜜が燻されてしまいます。燻煙器を用いる養蜂家の蜂蜜はさぞかしスモーキーなものに違いありません。少なくとも燃やしたものから生じる化学物質も蜂蜜に混入しているでしょう。細かい灰は間違いなく混ざっているはずです。
わたしは燻製のような蜂蜜は食べたくありませんし、人様に差し上げたいとも思いません。そういうこともあり、わたしは燻煙器は使っていないのです。
「わたしの養蜂具――背負子」に続きます。