「無巣礎養蜂の実践」の続きです。
無巣礎が良いかどうかと問われて、「なぜ巣礎が発明されたのかを考えたら分かることでしょ」と意地の悪い答えをすることもできますが、そのような答えは、なぜそのような問いが発せられているのかについての洞察を欠いた浅慮な答えです。
巣礎を疑問視する問いは、ヘギイタダニ問題の文脈で発せられています。自然に存在しない巣礎がヘギイタダニ抵抗性を奪っている疑いは拭えません。巣礎の巣房サイズは、自然の巣房よりも6%ほど大きいからです。
「ミツバチに必要なことはミツバチが最もよく知っている」のは確かです。体の大きい働き蜂の方がいいというのは、人間の都合、おせっかいです。
それでも、無巣礎にしたからといって大問題が万事無事に済むわけもなく、実感としては増巣に時間がかかり、ヘギイタダニ抵抗性に効果があるようにも感じられず、無巣礎養蜂は養蜂家の自己満足、自然派アピールに過ぎないように思われます。
実際、現在巣礎が必要とされるのは遠心分離器で回す時に巣板が壊れないようにするためです。無巣礎の場合でもゆっくりと回し、さらに裏返す作業を頻繁に行えば蜜は取れますが、それが面倒なので巣礎が必要とされるわけです。
そうした必要との折衷的な解決策が半巣礎です。半巣礎なら、ミツバチたちには自分たちが必要とする巣房を作る余地が50%もあります。全面巣礎のように蜂の移動に無駄ができることもありません。
半巣礎の方法は文字で説明もできますが、写真のとおりです。こうしているからと言って、ヘギイタダニ問題が直ちに解決される訳ではありません。小さく積み重ねる努力のひとつです。